コラム:みがわり+がむしゃら+カムラの実
今回の記事はバトレボ時代から存在し、また筆者が最も愛する戦術の一つ、所謂『みががむ』と呼ばれる戦術についてのお話です。
この記事の中では六世代環境における
ポケモン@カムラの実
耐久調整や素早さ調整
身代わり/がむしゃら/一致メインウェポン/自由枠
という構成のポケモンをベースとします。
続きは興味のある人だけどうぞ。
ex1)ニョロトノ
ex2)フラージェス
⒈概要
身代わりで自らHPを調整し、がむしゃらによってダメージを与える戦術です。
この戦術の強みはタイプ相性や耐久指数を無視してダメージを与えることができる、この一点に尽きます。耐久指数の高いポケモンによる数値受けや、耐久調整の施されたポケモンによる受け出し、将又タイプ相性による受け出しといったものを基本的に考慮する必要がなく、一方的に相手の想定を超えたダメージを押し付けることができます。相手視点では想定し得ない最高打点になり得る、これががむしゃらという技の強みであり、それを確実に遂行するないしは効果的に使用するための手段としてみがわりという技と非常に相性が良いため、みががむという戦術が確立されたのだと思います。
また、がむしゃらという技の性質上、本来こちらには見えないはずの相手のポケモンのHPに関する具体的な数値が可視化される(自分のHPと相手のHPが同じになる)ため、後続のポケモンを動かしやすい環境を作り出す事にも適しています。
⒉技構成
戦術の肝となる『身代わり/がむしゃら』は固定として、残り二枠についてです。
まず一致メインウェポンに求められるのは、一貫性の高さと追加効果です。そういう意味で一致メインウェポンに熱湯を採用できる貯水ニョロトノ、特性も相まって積極的に追加効果を狙っていけるトゲキッス、肝っ玉による一貫性の高い追加効果打点を持つガルーラは、このみががむ戦術を行えるポケモンの中でも非常に高いスペックを持っているポケモンと言えます。
また自由枠として積極的に採用したい技には、先ずアンコールが挙げられます。これは身代わりという技との相性、積み技への解答、がむしゃらに対応する回復技への解答、いずれについてもシナジーが非常に高いです。
その他、採用され得る技としては、先制技、瞑想やビルドアップ等の積み技、メインウェポンと合わせて広い範囲に対応できる攻撃技、正直自由枠についてはその名通り自由度が高いです。
⒊耐久調整と素早さ調整
この『みががむ』戦術において、耐久調整はかなり重要なポイントになってきます。身代わりが相手の攻撃を耐える、相手の攻撃を耐えて尚且つ身代わりが下から残せるだけのHPが残る、こういったところを意識しながら耐久調整をしていくと、この戦術により一層深みが増します。特に中速のポケモンにカムラの実を持たせる場合は素早さの逆転を利用し相手を突破する狙いがあるため、とりわけ重要だといえるでしょう。
ex)X=相手,Y=こちら,X'=相手後続
Xの◯◯を耐える。Yは下から身代わりを残す。
Yのカムラの実が発動し素早さ関係が逆転する。
Yはがむしゃらを選択。Xの攻撃でYの身代わりが壊れる。
Yは上からメインウェポンでXを突破。
S上昇したYで相手の後続X'にがむしゃらを選択。
これがこの戦術の基本的な動き方になります。裏から出てくるポケモンにも大きい負担をかけられるため、うまくいけば1.8匹くらいを持っていくことができます。
次に素早さ調整についてですが、実数値にして134~153あたりが狙い目です。これより遅いポケモンは現環境においてはなかなか機能しにくいと考えています。
なので、ここでいう『みががむ』戦術に適性があるポケモンは、耐久調整をしつつ素早さも確保できるポケモンに限られてきます。
⒋持ち物
原則カムラの実一択
⒌候補
:貯水による水タイプへの繰り出し性能、ステロ展開阻害性能、耐久値、いずれをとっても最高水準のみががむポケモン。
:高い特殊耐久を生かし、相手の耐久型を起点に崩していくことができる。
:優秀なタイプと耐久をもっており、アンコールがむしゃらを両立できる。カムラが発動した後はスカーフキッスのような運用も可能。
:優秀なタイプと耐久をもっているが素早さが少々足りない。みがわりはげきりゅうとの相性も良い。
:高い物理耐久を生かし、相手の物理アタッカーを起点に崩していくことができる。メインウェポンに秘密の力、不意打ちという先制技もあるため崩し性能は高い。
:アンコールがむしゃらを両立できる珍しいポケモン。耐久こそないが火力素早さは申し分なく、フレアドライブの反動でカムラ圏内にいれたりアタッカー寄りな立ち回りができる。
:前述のヒヒダルマと同様、ブレイブバードの反動でカムラ圏内にいれてがむしゃらと攻撃技を打ち分けながら相手を削ることができる。
:耐久調整という観点からはズレているがみがわりアンコールがむしゃらを両立できて麻痺しない(電磁波に繰り出せる)うえ、HPも低めなのでASでの運用ができる。
:足が遅いのが非常に残念だが、特性と一致メインウェポンのおかげで棲み分けがしっかりできるポケモン。きもったまがむしゃらにしても良し、防音で身代わりの安定感を維持しても良し。
:比較的高い耐久と最低限の素早さ、きもったまによってゴーストに対してもみががむを展開できるが、メガシンカしたほうが強い。
:メガシンカ枠を消費してまでやることではない。
※アンコールとがむしゃらを両立できるポケモン
・ まとめ
僕の言うところの『みががむ』戦術を展開するポケモンの多くはカムラの実による素早さ逆転ギミックを利用するために素早さに補正をかけています。そのため不利な相手との対面においても上からみがわりを連打、早い相手の受け出しに対して身代わりを残して対面した場合は下から身代わり連打することでHPを調整しながら強引に削ることもできてしまいます。また、相手の不意の変化技を防ぐことができ、アンコールがあれば逆に起点にしてしまうこともあります。
先にも述べた通り、この戦術は数値受けやタイプ相性で受けてサイクルを回す相手や、ステロ展開を狙ってくる相手に対して非常に有効で、高耐久ポケモンを強引に削ったりステロ始動要員を起点に相手のパーティを疲弊させたりすることで、ガルーラやファイアローをはじめとする上から殴って強いポケモンの一貫を作り出すひとつの手段です。
また、この技構成のポケモンは受けループを崩す性能にも長けており、パーティ構築段階で比較的容易にその類のパーティに解答を持てる点も高く評価しています。
なにより火力の足りないマイナーポケモンが、高耐久ポケモンに対して一矢報いることができる素晴らしい戦術だと考えており、筆者が最も愛する理由はここにあります。
琴線に触れた人いれば、がむしゃらを覚えるポケモンで検索して、その中からポケモンを選び、自分なりに耐久調整をして、自分で型を考えてみてください。
それがポケモンというゲームの楽しさのひとつです。